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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第61章 注意せよ、その風に 〜He is gale〜 / 🍃



「ありがとう、はぁ……ござい、ました……」


実弥に礼を言い、はあ……と両膝に手をついた七瀬。
そのままぺたんと尻を地面に下ろし、ふうふうと息をゆっくりと整える。

ふっと頭上が暗くなる。ん…?と疑問に思う彼女の前に差し出されたのは竹筒だ。

どうやら実弥が持ってきたらしい。
七瀬はどきんと胸が高鳴りながらもそれを落とす事なく受け止め、乾いた喉にごくごくと流し込んで行く。


「連撃で技を防ぐのも良いが、出来たら一撃でかわした方が得策だと思うぜ」

「師範の型は強力です。一撃で防ぐのはほぼ不可能かと……!」

「そこをどうにか工夫すんのも、剣術だろうがァ。雑魚鬼との対戦に無駄な力を使うのは勿体ねェ。お前が得意だと思う型があんだろ。それを磨き上げる事もしとけよ」

「は、はい…! 肝に銘じます!」


——— 今日の朝稽古はこれで終いだァ。

実弥は七瀬から空になった竹筒と木刀を奪うように受け取ると、一人自分が持っている得物と共に片付けをしに向かった。


この日以降、継子は実弥に対し、師範としては勿論異性として急速に惹かれていく。

実弥もまた打てば響く七瀬に対し、特別な思いを育てていく事になるが、それを自覚するのはもう少し先だ。












「……でね? 師範のその時の顔が、超が付くぐらい優しくてね!! ああこの人の継子になって良かったあって心から思った……、ちょっと善逸! 聞いてる??」

『これで何回目だろ、この話聞くの……』


数日後の午前九時半。
七瀬は任務で一緒になった後輩隊士を食事に誘った。

隣の県へ出向く任務かつ、討伐が朝までかかった。睡眠欲より先に食欲がまさった二人は朝からやっている食事処へとやって来ているのだが……。

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