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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第61章 注意せよ、その風に 〜He is gale〜 / 🍃



左掌に右拳をぽんと打った七瀬は、実弥を見る眼差しに熱がこもる。


「どうだァ? ちったあ気分が上がったかァ?」

「はい……! 凄く心が弾んでいます」


よし、と右拳を背中の後ろでぐっと握った風柱は蛇柱に感謝をしていた。友人の発言はやはり的確だったのだ。


「おい、庭行くぞォ。朝稽古をやるから付いてこいや」

「………わかり、ました」


ほんの一瞬だけ、うっと尻込みした継子であったが、実弥との頓知(とんち)で随分と気持ちは前向きになっていた。


『いつもは憂鬱な稽古だけど、今回は前向きに取り組めるかも……!!』


先に縁側から庭に出た実弥の背中を追いかけるように付いていく七瀬。師範はとても怖いが、それだけではないようだ。
風柱邸にやって来て一ヶ月。

彼女は実弥の内面に潜んでいる優しさのかけらを、少しずつ掴み始めていた。








「風の呼吸・壱ノ型」

「風の呼吸・参ノ型」


塵旋風・削ぎ(じんせんぷう・そぎ)を放つ実弥に対し、晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)で防ぐ七瀬。

壱ノ型はどうやら彼の得意の型らしい。
彼女は毎回の稽古で、それを朧げながらも察していた。今は素振り五百回で体を温めた後の地稽古を実施中だ。


『ん……やっぱりこの型の威力、一番凄いな。参ノ型だけじゃ防ぎきれない……!』


竜巻のように螺旋状の斬撃が向かってくる壱ノ型。
トン、トン、と足を使って一度後方に下がった七瀬は、ふうと呼吸を再度整え ———


「肆ノ型 —— 昇上砂塵嵐(しょうじょうさじんらん)」


砂嵐を思わせる型を、塵旋風・削ぎにぶつけた。
地面を抉りながらの突進技を舞い上がった砂で、絡め取ろう。そんな戦法である。

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