恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
「気持ちは良かったよ、物凄く。だけどまだまだ君に触れたいし、近づきたいから……満足はしていないかな」
「んっ……」
ふうと息を吹きかけ、舌で彼女の耳の中を少し辿る。甘くてかわいい声。やっぱりもっと七瀬と肌を重ねたい。
「誕生日に俺の初めてをあげたから、一つ歳を重ねた俺に七瀬をまたちょうだい」
「え、えっ……あの、まだやる……の?」
耳への愛撫と次の情交への誘いで、顔を真っ赤に染める彼女だ。
「うん、今満足してないって言ったでしょ。七瀬は? もう俺と繋がるのは嫌?」
「その聞き方は……ずる、いよ」
「ねえ、それって続けて良いって事かな」
「………」
無言のまま、首を縦に振る七瀬の額に自分の額をコツンと合わせる。
出来たら君の初めても俺が貰いたかったな。七瀬の初めてを奪った誰かもわからない他人に、強烈な嫉妬心が芽生える。
「七瀬の初めても、俺が貰いたかったなあ」
「えっ」
パッと重ねていた額を離した彼女は、また真っ赤な顔をしている。
ああ、やっぱりこの子かわいい。
ふっと笑みをこぼしながら恋人を抱きしめると、華奢な体は難なく自分の手の中に囲う事が出来た。
「ねえ、やっぱり俺さ。好きな子を独占したいって気もちが凄く強いみたい」
「うん、嬉しい……ありがとう」
「無事ここに。君の元に帰って来れるよう、毎回精進する」
「あ、それは私もだよ。無一郎くんの元に無事に帰って来れるようにもっともっと強くなる」
ふっと自分の目の前が暗くなったと思うと、唇に触れたのは君のあたたかい唇だった。
優しくて甘い口付けを貰うだけで、心がとても満たされていく。