恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
「まだ家族で暮らしてた頃、食事中にたくさん食べたいなあって思って汁物を大きめの椀に入れててね。それをここにこぼしちゃったの」
「君、その頃から落ち着きがないんだ」
「もう、ひどいなあ……」
熱くて熱くて大泣きした —— 火傷の理由は七瀬らしい、かわいい物だった。
「その時に学んだから、今はたくさん食べたいって思っても、小さなお椀で食べるようにしてる」
「言われてみればそうだね」
なるほど、そんな経験からだったのかあ。
自分の掌で覆える火傷が愛おしい。そこにゆっくりと唇で触れると、ピクっと震える彼女だ。
「ねえ、さっきの続き教えて。口付けの次にやる事」
「う、うん」
——— 五分後、七瀬の辿々しい説明が終わった。顔がまた赤くなっている。こう言う所が本当にかわいい。
まずは華奢な体をそっと抱きしめ、それから布団にゆっくりと彼女を押し倒してみる。ほんのりとした灯りが七瀬の裸体を照らす中、俺は小さな唇へ口付けを落とした。
やっぱり気持ちいいな、七瀬との口付けは。
音を響かせながら、ゆっくりと時間をかけて愛撫を深い物へと変える。
「んっ、気持ち…いいよ」
「そう、良かった」
せっかく恋人が素直な気持ちを伝えてくれるのに、俺はまた照れ臭さからそっけない返答しか出来ない。
自分も気持ちいい。それだけ伝えるだけなのに何で言えないんだろう。
君に言葉が上手く紡げない代わりに、行動で自分の気持ちを伝えていくね。
ちう…と唇を強く吸い上げると、はあっと真下からこぼれる甘くて愛おしい吐息。
七瀬が好きだ。絶対誰にも渡したくない。