恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
カアッと血色が良い頬が更に濃く染まる。
湯浴み後と言う事もあって、七瀬の体からはほんのりと清涼感がある香りが鼻腔に届く。
つい数時間前に自分も同じ石鹸を使ったから、僕の体からもそのにおいが香っているはずだ。
「誕生日はもう終わったけど、今夜は無一郎くんと……その、ね?」
「………」
『女に言わせんなよー』
ふと脳内に浮かんだのは宇髄さんのニヤっとした、したり顔だ。
「七瀬、朝まで一緒にいよっか」
君の言いたい事……これで合ってるよね?どうかな?手を握ったまま、グッと顔を寄せてみる。
すると目の前の彼女は、カアッと照れた表情をしてうつむいてしまった。
「ダメ、俺を見てよ」
小さな顎を掬い、恋人の柔らかな唇を親指の腹でそうっとなぞる。
瞳がゆらゆらと恋慕の情できらめいている。
まずは唇に口付けを一度贈った。ちう、と軽く音を響かせる物だ。
はあっと彼女の息が唇からこぼれたけど、またそれを塞ぐように口付けをする。
七瀬と恋仲になって、口付け合う事は増えた。
俺は彼女の唇が好みらしく、自分からよく唇への愛撫をする事が多い。それに気持ち良いんだよね。この子との口付けって。
チロ、と舌を突き出して七瀬の唇周りを舐める。
「んう、」と小さいけど、甘くくぐもった声が漏れた。
かわいい声だなあ。もっと聞いてみたい。どうすれば良いかな。
「ねえ、七瀬…頼みがあるんだけど」
「う、うん。なあに?」
彼女の瞬きの数が多くなる中、こっそりと秘密を打ち上けるように問うてみた。
「口付けより先の事って、あるんでしょ。どうやるの」
「はい??」