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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎





カチカチカチカチ……。
部屋にかけている時計を見れば、時刻は後十五分で日付が変わろうとしていた。


七瀬…怪我してないかな。
師範だから、継子の実力は把握している。けれど、今の僕はただ彼女を思う男だ。


単独任務と言っていた。帰宅は日付を跨ぐだろう。ひょっとしたら夜明けが過ぎて帰宅するかもしれない。

溜まっていた書類は三十分で済んでしまった。
部屋の掃除でもしようと思ったけど、元々物が少ないからそれもあっという間に終わってしまう。

じゃあ七瀬との稽古内容でも考えようかな。
そう思い立ち、文机に置いてある和紙に文字起こしをしていると…。


「あれ、もうこんな時間……」


僕は二時間程集中していたようで、時計を確認すると午後十一時半を回っていた。そこから十五分程経過した時に感じた事が、冒頭の出来事。

文机に錯乱している和紙は十枚以上ありそうだ。七瀬とやりたい事がこんなにあるなんてね。


一枚手に持って、彼女との鍛錬を想像してみる。普段は危なかしっい面があるけど、稽古となるときちんと気持ちを切り替えて向かって来る七瀬。


隊士としての顔はなかなか凛としていて、師範としては誇らしくもある……って言うのは秘密にしておこう。
伝えても良いんだけど、正しく言えるかどうかがわからない。


普段はまだまだ起きている時間だから、眠気は全くない。
時間の使い方って結構難しいんだなあ。そんな事を色々頭の中で思案していると、玄関先に人の気配がした。


……あれ? 帰って来た、のかな。
僕は逸る気持ちを必死で胸の中に押し留めて、部屋をやや急ぎ足で出る。



「ただいま帰りました—-……」

玄関に辿りついたと同時。七瀬が小さな声で呟いていた。


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