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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎




「ふふ、無一郎くん気になる?」

「……別に」

「気になるなら、気になるって言えば良いのに」

「いただきます」


七瀬のこう言う所はちょっと嫌かな。気になるってわかってるなら何も言わないで欲しい。

「ふふー」と変わらずに含み笑いをしながら、僕が口をつけるのを観察している。

大きめの匙(スプーン)を持ち、まずは楕円形の卵料理から手をつけていく。どうやって食べれば良いんだろう。
ひとまず匙で中身を割ってみる事にした。すると……


「米が赤い…食べれるの、これ」

「それね、ケチャップって言う調味料を混ぜて炒めてあるんだ。美味しいよ。ライスオムレツです」

「ふうん」


赤い米飯を包んでいるのは、ふわふわとした卵。二層になっているそれをゆっくりと口に入れて咀嚼していく。

初めて食べる味だけど…美味しい。米飯がちょっと甘くて、口の中で卵と混ざるのが好きかな。


「こっちは?どんな味なの」


パクパクとライスオムレツを食べ切った僕は、満月のような丸い形をしている卵料理を指差した。すると、隠の女の人が胸を押さえて「良かった」と安心した様子を見せる。

……もしかして作ったの彼女なのかな。



「こっちはじゃがいもと玉ねぎにほうれん草。それからベーコンって言う豚のばら肉を塩に漬けて、燻製(くんせい)にした物も入ってるんだ」


少し身を乗り出して質問をすると、七瀬がそう答えてくれた。この料理の名前はとるてぃーじゃ、と言うんだそう。


「異国のスペインでよく食べられてるんだって。本田さんの恋人が西洋料理に詳しくてね。ライスオムレツを作るのなら、こっちは混ぜて焼くだけだから、より簡単だよって教えてくれたの」


「へえ、七瀬はこっちを作ったんだ」

「うん。私、これみんなのお皿に取り分けるね」


とるてぃーじゃの右横に置かれている大きめの匙で、彼女が三人の皿にそれぞれのせていく。



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