恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
「んう……」
好奇心が少しまさった俺は舌でチロ、と彼女の唇を舐めてみた。
すると七瀬のそこから甘い響きが漏れる。
「もう…びっくりするじゃない」
「ごめんな、どうなるのかなって思って…嫌だったか?」
掌で自分の唇を押さえる恋人がかわいい。ううんと首を横に振り、気持ち良かったよと伝えて来る七瀬もかわいい。
「七瀬、本当にかわいいな。俺は君が大好きだ」
「うん、私も炭治郎が大好きだよ」
にっこり笑ってくれる君にもっと近づきたい。恐る恐る両手を彼女の寝衣(ねまき)に伸ばすと「脱ごうか」と言った途端、俺のねまきに手を伸ばしてくる七瀬だ。
え、え、脱ぐって……あ、俺今七瀬の服を脱がせようとしたんだっけ。
「脱がしあいっこする? 楽しいかも」
「あ、いや……自分で! や、る」
「残念、じゃあまた次の機会ね」
「うん、わかった」
次もあるんだ。そんな些細な言葉が嬉しかった。
互いにバサッと寝衣を脱ぐ。俺は下着をはいたままで、上半身は裸だ。
七瀬はと言うと ———
「傷があちこちにあって恥ずかしいんだけど…」
「いや……それは、俺もだから……大丈夫だよ」
顔と同じく、卵のようにつるんときめ細やかな肌。鎖骨、両腕、腹部…と小さい物ばかりだけど、傷痕は確かに点在している。
肌の色が白いから目立たないとは言えない。
でも自分も鬼殺をしているからよくわかるけど、任務中は常に死が隣にまとわりつくように側にある。
俺達はいつだって己の命を賭けて、憎い鬼達を殲滅しているのだ。
「七瀬が自分の全てをかけて、任務に当たってる証じゃないか」
そっと右手を伸ばして、貴重品を扱うように。彼女の形が良い鎖骨にゆっくりと触れてみる。