恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
「上手く出来ないかも……」
「大丈夫だよ。そんな事全然気にしないで! こう言うのは気持ちが一番大事だから」
シュンとした気持ちで肩を落とすと、七瀬はとても嬉しい事を言ってくれた。そうだよなー俺、七瀬のこう言う所が好きなんだ。
よし、ちょっと元気出た。それでもやっぱり緊張する事には変わりない。だからまずは深呼吸をすると、真下から「ふふっ」と笑う七瀬だ。
「そういう真面目な所も大好きだよ」
「うん、俺長男だから」
「あはは、なあにそれ」
彼女の左頬にそっと触れる。キメが細かくてもちもちとした肌だ。
さっき俺の顔が小さいって言ったけど、七瀬も同じじゃないか?
そんな事を考えながら掌でゆっくり撫でると、唇に弧を描いて笑ってくれた。気持ちいいよ、癒されるの言葉をくれた七瀬の唇にそうっと、優しく自分の唇を当てる。
「んっ…」
「はあ……」
さっき七瀬がやってくれたように。まずは当てるだけの口付けだ。目を瞑っていると位置がわからなくなる。
だからほんの少し目を開けてみた。
するとこんなに近づけるんだ……と驚くぐらいに彼女の顔がすぐそばにある。
確か次は……五分も経っていないのにもう覚えてない。それだけ必死だったもんな。
諦めた俺は顔を離して「次どうすれば良いかわからない」と正直に彼女に伝える。
「私がさっきやった事と同じじゃなくても良いから、思った通りにしてみて」
「俺の? 」
「うん、そのままの炭治郎で良いから」
にっこりと花が咲くような笑顔で笑う七瀬の唇。
そこに呼ばれるように、また口付けをゆっくりと落とした。ち、ちうと当てるだけだけど、ありったけの気持ちを込める。
“君が大好きだ “