恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
「………しちゃう? 」
「? 何をだ? 」
するって何だろう。
「ごめん、こんな事言うなんてどうかしてる。聞かなかった事にして」
「ええ、何だそれ……」
顔が離れると何かに誘ってくれた彼女だが、少しすると頬をじわじわと林檎のように染める。
する。
七瀬の顔が赤くなる。
この部屋には今、俺と彼女の二人しかいない。
………………。
………!!!
え、するってまさか……あれか??
瞬間、顔の表面温度がボワッと上がった。続けて首から足元までの体温がじわりじわりと上昇して来る。
七瀬が、自分の恋人になったばかりの彼女がそんな事を言ってくるなんて。
それから己の意思とは無関係に迫り上がって来るのは欲情だ。
鬼を討伐した後、身体中を駆け巡る高揚感。
毎回ではないが、この感覚と同じぐらい高ぶるのが性欲だ。自分の奥底に普段は隠れている本能。
「俺、七瀬とし、し、……」
ああ、何やってんだ!どもってる場合か?俺は!! 長男だろう、しっかりしろ!!
ぎゅっと目をつぶり、横にいる七瀬の両手を握る。力が入りそうになるが、彼女に伝えないといけない事がある。
がっかりさせるかもしれないけど……でも好きな子には嘘をつきたくない。
「その、俺も君とその…体を繋げたい…だけど、初めてなんだ。だから勝手がわから、ない」
言った。
言ってしまった!!
もう後戻り出来ない。はあ〜と首をうなだれながらため息をつくと、ふわりと俺の体が包まれた。
鼻に届くのは、自分がさっき湯浴みの時に使った石鹸の香りだ。
「炭治郎、大丈夫だよ。凄く嬉しいから」
「え、そうなのか? がっかりしてないのか?」