恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第17章 令和になってもやっぱり寡黙 / 🌊
そして、先日雨が途中で降って走れなかった距離を走るぞ、と2回目の呼び出しをされて、私は彼と向き合っている。
「後2周ですよね?走って来ても良いですか?」
彼はこちらを見てはいるが、何も言葉を発しないので、自分からそう提案した。
すると ——
「ああ、行ってこい」
彼は私の頭にポン、と掌を乗せた。
『やばい!!……義勇さんの不意打ち、相変わらず……』
「それじゃあ行ってきます」
掌がゆっくり離れたのを確認すると、一目散にトラックを走り抜けた。
★
「終わったー!!」
2周、無事に走り終えた。
「お前、授業中は手を抜いていたのか?速く走れるのなら最初からそうしろ」
ぐうの音も出ない事を言われる。
「陸上部にスカウトしても良いぐらいだ」
そう、義勇さんは陸上部の顧問でもある。隊士をしていたから運動はもちろん嫌いじゃないけど、今は令和の時代。平和そのもの。
さっき鬼が出るって煉獄先生から聞いたけれど、めいいっぱい高校生を満喫したいもん。だって一度しかない青春なんだから。