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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎




頭上に視線を向けると、彼女に会いたくなる。
そこには夜空を流れる川のように見える天の川。それから夏の夜空の目印になる夏の大三角が瞬いていた。

あれは去年の夏、今日と同じような夜。七瀬と一緒の任務に当たり、共に鬼を討伐した。

天の川も夏の大三角も星が好きな彼女から教えて貰ったのだ。
夏の大三角とはこと座、わし座、はくちょう座。この三つの星を結んで描かれる、細長い大きな三角形をした星群。

こと座は織姫、わし座は彦星。七夕伝説の二人の事らしい。
一年に一回しか会えない二人か。

俺は好きな子には出来れば毎日会いたいし、ずっと近くにいたい。七瀬は好きな人……いるのかな。

松衛門に「帰ルゾ」と嘴(くちばし)でつつかれるまで、夜空の星を見続けていた ———












「炭治郎さん、こんにちは! 今日はようこそいらっしゃいました」

「遠方任務から帰って来たばかりなのに、来てもらってごめんね」

それから一週間後の午前中、俺は霞柱邸に招かれていた。
玄関の引き戸を開けると待ちかねたように、七瀬と霞柱邸専属隠の本田さんが歓迎の言葉をかけてくれる。


「本田さん、七瀬。今日は声をかけてくれてありがとうございます! お邪魔します」

七瀬の言う通り、確かに体は重い。
でも俺と時透くんを祝ってくれると言う気持ちは、心を軽やかに弾ませる。

上がり框に腰かけさせて貰い、霧雲杉の背負い箱を置くと七瀬がひょいと両手で持ち上げてくれた。


「禰󠄀豆子も一緒にお祝い出来たら良いのにね。こう言う時はお日様が少し恨めしいよ」


「そうだな、ありがとう」


「今日はちょっと珍しい物を用意しようと思ってて。試作も上手く作れたから、楽しみにしてて」





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