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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎



〜炭治郎の誕生日をお祝い〜


「ヒノカミ神楽 ——— 円舞!」
「グェェ……」


得物を縦に一振りすると、炎の輪が鬼の頸と胴体を焼いた。

日輪刀から付着した血液を振り落とし、納刀しながら悪鬼の残骸を見つめていく。サラ、サラ、と粒子に変化する様はいつ見ても虚しくなる物だ。


ふう、と一息ついた所で鬼であった異形の物は完全に姿を消失させた。


「禰󠄀豆子、終わったぞ。帰ろう」
「ムーン」


今夜は妹と俺二人だけ。実質単独任務だった。
いつも背中に背負っている霧雲杉の箱に禰󠄀豆子を入れて、家路につく。夜空を見上げると天の川が見える。


こないだ七夕だったんだよな。
まだ家族みんなで過ごしていた頃、笹の葉を取って来て願い事を書いた短冊を川に流した。そんな思い出が脳内をふっとよぎった。


七瀬は願い事、したのかな。
家族と過ごした大切な時間を思い出した次の瞬間 —— 自分の頭に浮かんだのは一つ上の先輩隊士で、恋慕を抱いている女の子の顔だった。


銀座に行こう。そんな誘いを彼女から受けた俺はとにかく浮かれてしまった。え、もしかして七瀬も自分の事を??


逸る気持ちを隠しきれないまま、黄色い頭の友人に相談すれば ——— 七瀬ちゃんはそのへん、まだ意識してないと思うよと現実的な意見を言われ、少し落ち込んでしまう。

善逸は騒がしい奴だが、人間観察になかなか長けている。だから説得力があるんだよな。


「銀座ってさー物価高いし、歩いている人達も上品な感じだから、ちゃんとした服装で行けよ」


そして友人は山育ちの自分と違い、都会育ちだ。その辺りの事情はかなり詳しい。

ありがたい助言を貰った俺は、持っている衣服と向き合い、前日から物凄く悩んだ。

結果 —— 襟がない白い襯衣(しんい)の上に臙脂色(えんじいろ)の着物を着用し、下は黒の袴を穿いて行った。
もちろんこれも善逸の助言を参考にした!!


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