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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎



ガラッ ——

「あれ、どうしたの? 忘れ物?」

「その着物、好き」

「えっ……?」


じゃあ、と無一郎くんはそれだけ私に告げると再び玄関扉を引いて出かけて行った。

………好きって……この若葉色の着物の事だよね。

着物に思わず掌をあててしまった。まるで自分の事を好きだと言われたようで、胸の鼓動がとくんとくんと忙しなく動いている。


無一郎くんは時々こう言う事を言ってくる。きっと無自覚なのだろう。でも私は言われる度に動揺してしまう。


「どう言う意味で言っているのかな……」

「七瀬さんの事が気になるんですよ」

「わっ、本田さん! 急に声かけないで下さい……。って、え?何ですかそれ」

「ふふ、ごめんなさい。それからお帰りなさい。どうでした?炭治郎さんとの銀座は」

ぼそっと呟いた独り言が、彼女に聞かれていた。
カーッと足先から羞恥心が迫り上がってくる感覚に囚われていく。


「ただいま戻り、ました……本田さん。”炭治郎”の部分を強調したのは私の気のせいですか?」


廊下の奥からにこにこしながら歩いて来た彼女は「ふふふ」と含み笑いをした後(のち)、話を聞きたいと私を急かして来た。
何だかとても楽しそうだ。

上がり框にゆっくりと腰掛け、草履を脱いだ私はふうと一つ深呼吸をし、本田さんと一緒に廊下を歩いて行った。











「ずっと確信が持てなかったんですが、今日ようやくはっきりしたのでお伝えして良いですか? 霞柱様は七瀬さんの事が好きだと思います」

「えっ、何ですかそれ……」

「そのままの意味ですよ」


隊服に着替え終わった私は、本田さんと一緒に縁側に移動して来た。彼女と私の間にはお盆とやかんと湯呑みが置かれている。
やかんの中身はよく冷えた麦茶だ。

ゴクッとそれを口に含むと、冷たい液体が喉を通過する感覚が気持ち良い。


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