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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第59章 左目に夜華(よばな)が咲く / 💎



一時間後 ——
玄関先で慈悟郎は、天元と三人の嫁達と話をしている。

「桑島さん、宜しければまたいらっしゃって下さいね」

「私達がみんなで行くのも良いんじゃない? だってお話するの、凄く楽しかったもん」

「七瀬ちゃんがたまに言ってました。天元様と桑島さんは似ていますって。私、それ分かった気がします〜」

「須磨が言っても、あんまり説得力ないよね」

「まきをさん、ひどいです!! 」

「まあまあ二人とも、その辺りにして。桑島さんが帰り辛くなっちゃうわよ」


天元と慈悟郎は顔を見合わせ、互いにガハハと笑うとその場がまた明るい空気に包まれた。
二人は「じゃあまた」と挨拶を交わし、慈悟郎は宇髄邸を去って行く。

その後も師範と育手の交流は、弟子が鬼になった自責の念にかられ、慈悟郎が自害するまで続けられたのである。











「今日は良い知らせを持って来たぜ。お前が交戦した上弦の伍だが、時透が討伐したってよ」


ここは鬼殺隊士が眠る共同墓地だ。
季節は流れ、今は五月下旬。先月たくさんの木に彩りを与えた桜は散り、木々の新緑が眩しい時期になった。

天元は七瀬の墓を桶と柄杓で掃除をすると、持っていた小さな花束を墓前に置く。
花の種類は花浜匙(はなはまさじ)で、英名はスターチスと呼ばれている物だ。


「この花、途切れぬ記憶って花言葉なんだってな。嫁達が絶対これを毎回持って行こうって決めてさ。今日は何となく一人で来た方が良いかなーと思って、俺だけだ! 悪いな、嫁達連れて来れなくて」

天元が七瀬の墓に一人話しかけていると、右横から墓所の入り口を通る足音が耳に入って来た。


『おい、沢渡! ぜってー来ないと思ってた奴がやって来たぞ』


「……宇髄さん?」

天元は呼ばれた声の方角に右手を挙げながら、大きな体を向ける。

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