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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第59章 左目に夜華(よばな)が咲く / 💎




三日前の早朝の事 ——


「あー……ここ、刃こぼれしてる。今回の鬼そんなに強くなくて助かったなあ」

七瀬は任務から帰宅後、自室にて鬼と対峙している最中に感じていた小さな違和感の正体をようやく知った。

彼女の短槍は笹穂槍(ささほやり)と言って、先端が鋭く”穂”(槍の刃の部分)の中頃が幅広い、直槍(すぐやり…穂先が直線的で、枝刃のない槍)である。

先端の刃先がやや欠けており、彼女は心の底から安堵していた。


急いで鬼殺隊当主である産屋敷耀哉へ修復願いの文を出し、仮眠を取る為に就寝する。

そして当日の昼過ぎ。
耀哉より了承の返答と翌日隠を宇髄邸に向かわせると言った事が書かれた文が届き、師範である天元と彼の三人の嫁に刀鍛治の里へ向かう件を伝えたのだ。



「初めて刀鍛冶の里へ行くんですけど、温泉も気持ち良いし、食事も美味しいんですよね? 師範」

「確かに湯治は傷や体の疲れによく効くけどさあ、遊びに行くわけじゃねえんだぞ??」


「……すみません! 初めての場所へ行く時ってすごく胸が高鳴ってしまう事が多くて。最近任務が立て続けに入ってたから余計にそう思っちゃいました…」


怪我の状態が軽快して来た天元と縁側に座り、七瀬は声色を弾ませながら師範に報告をすると、苦笑いと共に嗜められる彼女だ。

「はは、そうかよ。まあ気持ちはわからなくもねーけどな! 気ぃつけて行って来いよ」

「はい! ありがとうございます」

















「山口さんが七瀬ちゃんの怪我をした左目を見た時……天元様を思わせるような様相だったと言われていましたね」

「ああ。化粧でそうなるんじゃなくて、血で花火が咲いたようになってたっつーのがな……」

天元は己の左目に触れると、そこにあるのは宝石が埋め込まれている眼帯だ。
そして彼は七瀬の左目に視線をやった。


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