恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第59章 左目に夜華(よばな)が咲く / 💎
「桑島さん、またいらっしゃって下さいね」
「流行り物もよく知ってるし、お話してて凄く楽しかった〜!」
「今度私達三人で遊びに行っても大丈夫ですかあ?」
『くそっ!!お前ら、騙されんな!! とんでもねえクソじじいだぞ!!流行りもんを知ってんのは、時間があるからだろーが!!』
ニコニコと慈悟郎へ満面の笑みを浮かべている雛鶴・まきを・須磨。天元はそんな様子を横目に見ながら、心の中で憤怒していた。
「おぬし達ならいつでも大歓迎じゃ! 美味い甘味をたんまり用意しておくから是非来てくれ」
「慈悟郎さん、今度は私がそちらに行きますね。きっと善逸も顔を見せてないんでしょ?一緒に向かいます〜」
「うむ、待っておるぞ!」
こうして慈悟郎は宇髄邸から帰宅した。
その十五分後………。
「おい」
「ど・どうしたんですか?し、…あっ天元さん」
七瀬は天元によって彼の部屋に連れてこられていた。
慈悟郎に散々己の覚悟を問われ、三人の嫁の心は掴まれ、大層腹の居所がよろしくないのだが、この様子は残念ながら七瀬には伝わっていない。
「お前、確か俺と桑島さんが似てるとか前言ったよな? 今もそう思ってんのか??」
「えっ、そんな事言いました……ね」
「ちげーよ!! 俺は似てんのかどうかって聞いてんだ!! ちゃんと汲み取れ!」
「はい! わかりました、わかりましたから……顔が近すぎです!」
ズズズイっと僅か十センチの距離まで接近された七瀬はあわあわしながら、顔を桃色に染めていく。
『鈍い私でもわかる。 今、肯定したら流石にヤバすぎ……』
深く長い息をはいた彼女は、何と答えようか逡巡するのだが ——