恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第58章 Evviva!(エッビーバ) / 🔥 ✳︎✳︎
それから一週間後 ———
私と彼はサッカーの試合を観にやって来た。この会場は収容人数六万三千七百人。サッカー専用スタジアムとしてはアジア最大級だ。
「相手チームのユニフォームを着てる方も多いですね!イタリアの方なのかな?って言う方もちらほら見かけましたし」
「日本でもこのチームが好きな人は多い故だ。以前所属していた選手もいるしな」
「W杯でブラボーをよく言っていた人ですよね!私、彼の著書を二冊読みましたよ。とっても面白かったです」
「ほう、君も読んだか!」
「と言う事は、れ……杏寿郎さんも?」
「ああ」
ぽん、と私の頭に乗せられた大きな掌と優しい眼差しに胸がきゅんと鳴った。
今日の試合はセリエAに所属している”インテルナツィオナーレ・ミラノ”がワールドツアーと称して、世界各国を巡る物だ。
日本は五カ国中、一カ国目。インテルの選手達の気迫がウォーミングアップから伝わって来る。
「Forza!Forza!」
「フォルツァ?ってどんな意味なんでしょう」
私達がいるのはホーム側のチーム、アウェイ側のチームが関係なく座れるカテゴリーだ。だからインテル側のサポーターの人もちらほらと座席を埋めている。
「確か、”頑張れ”と言う意味だったように記憶している」
「へえ、なるほど。あ、横断幕にも記載されていますね」
自分達のエリアから向かって左側がホームチームのゴール裏席、その反対の右側がアウェイチームのゴール裏席だ。
インテル側の垂れ下がっている横断幕の一つに” Forza!!” と大きくプリントされていた。
その後も彼と話していると、両チームのウォーミングアップ終了になり、一旦ピッチ上にいる両チームの選手とスタッフ全員がロッカールームに引き上げていく。