恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第57章 恋のゆらぎ / 🎴・⚡️
翌週の水曜日、今日はウィークリーチャートの発表日だ。ライブはやった。各方面への連絡も滞りなく通達した。つまり、やるだけの事はやった!
「いつも以上にドキドキします」
「そうですねぇ」
「おい、沢渡!腹くくれ」
事務所に集まった私、しのぶさん、後藤さんは目の前にある冊子を凝視したまま、該当のページを開く事が出来ずにいた。
その冊子は週刊雑誌で、前週にリリースされた楽曲順位が記されている物だからだ。
時間が刻一刻と過ぎる。
一分、二分、三分………。掛け時計の秒針が響く中、しびれを切らした後藤さんが手を伸ばして雑誌を取った。
「あ、待って!待って下さい、後藤さん…!」
「腹くくれって言っただろーが!ほら、胡蝶さんはもういつも通りだぞ!」
パラ、パラ、とページが捲られる音。思わず私は両目をぎゅうっと閉じてしまった。
「えっ……うそだろ、おい。こんな事あるのか??」
「あらー、本当ですね。私もびっくりです」
慌てる後藤さんと、びっくりと口にはしているものの、慌てた様子は見受けられないしのぶさん。
対照的な二人の態度に私は大層混乱したが、意を決して瞳を開けた。
「あの!一体どういう事ですか?」
前のめりになった私に後藤さんが「ほらよ」と声をかけながら雑誌を渡してくれた。
私の目に飛び込んで来たのは………。
★
「ええっ!同率一位??そんな事ってあるの?」
「ああ、何回見ても俺達とJyogen discode / Sabana Rockの楽曲の横に同じ数字が印刷されてあるぞ、善逸」
あれから後藤さんがマンションに迎えにいき、事務所にやって来た炭治郎くんと善逸くん。二人は先程の私達三人とほぼ同じ反応を見せながら、雑誌を食い入るように覗きこんでいた。