第16章 令和の緋色と茜色 / 🔥
「君は今回も自分から気持ちを伝えて来たな」
「だって、杏寿郎さんを初めて見た時から気になってたまらなくて」
「前世と全く一緒だったぞ。こちらから伝えようと思ったタイミングでの告白」
本能が反応したのだろうか。きっと —— 心が覚えていなくても、体が覚えていた。
「俺は君を待っていた。記憶が戻ってからずっと」
「杏寿郎さん……」
「おかえり、七瀬」
目の前が暗くなった。と、思うと私の唇に温かい彼の唇が届いた。
「ん……」
啄むようなキスから始まる彼との愛のやりとり。舌を絡め合い、歯列をなぞられる。
それからちう……と言う音と唇が離された。すると私達を繋ぐ銀の糸が姿を表す。
「こういうキスも久しぶりだ」
「我慢させちゃってごめんなさい」
「気にするな」
私はぎゅっ……と彼に抱きつく。背中をいつも通り優しく撫でてくれるこの仕草が大好きだ。
「ふふ、前世でもよく背中を撫でてもらいましたね」
「俺だけのものだからな」
懐かしい。初めて杏寿郎さんと結ばれて、そう言われたなあ。そう言えば翌朝も仲良くしたんだっけ。