恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第16章 令和の緋色と茜色 / 🔥
そう呟いた瞬間———
私の頭の中にもの凄い数の情報がなだれ混んできた。
水の呼吸、青柳色の八雲柄羽織、群青色の鞘、背中に大きな傷、今と同じショートの髪型、空色の刀身。詰襟、袴、八雲柄の脚絆。
そして。
———炎の呼吸、茜色の刀身。
ああ、そうだ。やっぱり杏寿郎さんを前から知っているんだ。
だって私は……
「炎柱の継子………」
最後に口からその言葉が出た。
「戻って来たか?記憶が」
「師範……」
両目から涙が溢れ出した。
「そう呼ばれるのも懐かしいな」
涙を優しく拭ってくれる親指。
自分を見つめる炎のような双眸は、大正の時代に私が大好きだった日輪の瞳。
「杏寿郎さんはいつから記憶が戻っていたんですか?」
「キメツ学園に赴任した時にはもう戻っていたな。先生方や生徒の何人かも全員ではないが、記憶を取り戻している者がいる」
「そうなんですね」
クラスメイトのアオイちゃん、後輩のカナヲ、炭治郎、善逸、伊之助、玄弥.。
みんな私と話している時を時々懐かしそうにしてたのが、ようやく納得できた。