恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第2章 唇に甘い罠 / 🔥✳︎✳︎
「血鬼術—— 」
「夢幻の口火(むげんのくちび)」
血鬼術……!目を思わずつぶる。
ギュッと身構えた次の瞬間。彼の唇が私の唇にそっと当てられた。
え、どう言う事?
熱を持った牙がそこを掠め取り、鉄の味がジワっと広がる。
「何でこんな事……」
「君にこうしたくなったから」
顔を逸らしたくても、頬を固定されているので動けない。
しばらくして唇が離れたので、ふうっと息をはく。
恐る恐る目を開けると、目の前の鬼が大きな目を少し細めて、満足そうな顔で私を見ていた。
「甘美な血だな。では……こうするとどうなる?」
「……何……」
“するの”
………そこから先は言葉にならなかった。