恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第57章 恋のゆらぎ / 🎴・⚡️
一方、キブツジプロダクションでは ——
「やあやあ、妓夫太郎に梅ちゃん。今日もロックしてるね〜」
「おう、こないだの曲良かったぞ」
「……ロックとは心がブレない事だ」
「おにいちゃん!先輩達が褒めてくれてるよ」
「ありがてえなあ」
Jyogen discode の童磨・猗窩座・黒死牟がShabana Rock の二人を大層褒めていた。そこへ秘書の稲玉獪岳とやって来たのは、キブツジプロダクションの社長であり、元は歌手だった鬼舞辻無惨である。
「鳴女は本当に良い働きをするな。カガヤーズの面々は実に滑稽だ。態度をきちんとしてさえすればすぐに騙される」
高級なスーツに身を包み、優雅な仕草で社長はふかふかのソファへとその体躯を沈めた。
獪岳はほう、と恍惚の表情を浮かべながら無惨を見つめている。この獪岳は時々カガヤーズ事務所に清掃員として、潜入する事が多い。
「奴らは無惨様の仰る通り、鳴女様の事を少しも疑っておりません。流石です!!」
「当然だ」
さもありなん、と言った態度で腕組みをする無惨は胸ポケットから煙草を取り出した。ライターで火をつけ、ふう…と一息つく。
「pillarの十周年曲に対する楽曲の仕上がりは抜かりなく行え。いいか?この場にいる二組には我がキブツジプロダクションの命運がかかっているんだ。最後まで妥協は無きよう……心してかかれ」
「はい、無惨様!かしこまりました!!」
「……獪岳、お前が意気込んでどうする。制作するのは俺達だぞ」
「申し訳ありません、黒死牟さん……お恥ずかしい限りです」
「いいじゃないか、黒死牟殿。俺達を支えてくれる下々の者にも頑張ってもらわなきゃいけないんだから。あ、獪岳。後でファンレター持って来てね〜」
「はい、もちろんです!童磨さん」
『産屋敷……ウィークリーチャート一位は私達が頂くぞ』
無惨はブラックコーヒーをずずっと啜りながら、一人ほくそ笑むのであった。