恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第57章 恋のゆらぎ / 🎴・⚡️
「俺は宇髄や煉獄のように、そこまで高い声は出ないぞ」
「あ、はい。わかっています」
「ほう、さすが歌いやすい曲を書くと言われているだけはあるな」
「ありがとうございます!!」
甘露寺さんとの通話を終えた伊黒さんは席を移動し、宇髄さんと煉獄さんの間に座って話をしている。
「伊黒さんはミックスボイス(=地声と裏声が混ざったような中間の声)が綺麗だともファンの方に言われていますよね。今回大サビでそれを入れようかなあと考えているんですが・・・」
善逸くんは先程思い浮かんだと言うフレーズを即興でハミングしながら引き続き三人に伝えていく。
炭治郎くんはどんな歌詞を入れたいか、などを三人に質問しながら希望をスマホのメモにまとめているようだ。
「冨岡さん、不死川さん。お二人にも意見を伺いたいのでこちらに来て頂けると助かります」
聞き取りがひと段落したであろう炭治郎くんが思い思いに過していた二人に声をかける。
するとそれぞれが手に持っていたお酒をぐいっと飲みほして、五人が座っている大きなソファーに腰かけた。
「希望っつーても俺と冨岡はハモリだかんなァ。そのへんはメインの伊黒に合わすつもりだぞ?」
「俺は不死川とは少し違う意見だ」
この冨岡さんの発言により、いったんまとまりかけていた話は再び振り出しに戻ってしまう。
そこから更に意見がまとまるまで一時間弱。ようやく十周年記念曲について、双方の意見が合致した頃にはもう日付が変わろうとしていた。
「今日もありがとうございました。明日は久しぶりのオフなので作詞を進めてみます」
「おい、炭治郎それじゃあオフの意味がないぞ!」
真面目な炭治郎くんにすかさず突っ込む善逸くんだ。
二人が同じマンションに入っていくのを見届けた後、私達三人は事務所に戻る。
タレントを自宅に送り届けても、マネージャーの私達はこなさなければならない業務がある。
一時間だけ仕事をした後、私・しのぶさん・後藤さんは事務所の上の階にある自宅へとそれぞれ帰宅したのだった。