恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第57章 恋のゆらぎ / 🎴・⚡️
手頃な広さの楽屋中央のローテーブルに炭治郎くんと善逸くんが向かい合って座っている。
「うん、おいしー!おにぎりって一番手軽に出来るけど、作る人によって全然違うんだよね。しのぶさんのはいつも愛情たっぷり!」
「俺も自炊はしますが、自分の為に作るとあまり美味しいなって感じれないんですよね…」
炭治郎くんの言い分は何となくわかるような気がする。
自分以外の誰かがやってくれる事、と言うのは心地いい事が多い。
おにぎりもそうだけど、自分で髪を洗うのと美容師さんに洗ってもらうのとでは、圧倒的に美容師さんにやってもらった時の方が気持ち良い。
「ふふ、ありがとうございます。確かに炭治郎くんが作って来た肉じゃがは絶品ですもんね」
「俺がギャップ男子なら、炭治郎は料理男子。俺ら二人って色々バランス良いよなー」
「得意な事・苦手な事も違うもんな」
二人が笑顔でおにぎりを食し、しのぶさんが笑顔で肉じゃがを食す。マネージャーは空き時間を見つけて各自で自由に食事を取るようにしているのだけど、今日はしのぶさんのこなす仕事量がなかなか多く、二人と同じ時間になってしまった。
「おい、沢渡。宇髄から連絡があってよ。この現場の後、バーに来れるかって」
「へえ、宇髄さんですか」
十周年記念曲の打ち合わせかな。二人に予定の有無を聞くと「是非!」と即答の返事だ。
ほう、と感心した後藤さんはすぐメッセージの返信をした。
★
そして今 ——
ここはカガヤーズ事務所の一階にあるプライベートダイニングバー【to be born】
オーナーはお館様なので、主に利用するのは事務所所属のタレントもしくは関係者のみだ。
「急に呼んで悪ぃな。ちょうどうちら全員集まってっから、一度は曲の事について直接話しておくのも良いかと思ってよ。それにお前らにも会いたいって、特にこいつが」
「久しぶりだな!少年達!息災だったか?」