恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第57章 恋のゆらぎ / 🎴・⚡️
「煉獄さんはいつもよくしてくれます。食事に連れて行ってくれたり、彼の自宅でセッションしたり……」
「俺もオッサ…あ、いえ!宇髄さんにはお世話になりっぱなしで。ダンスが上手だから、繊細な振りを詳しく教えて頂いたり……」
「うんうん、子ども達皆んながそうやって仲良くしてくれていると私も嬉しいよ。でね?十周年の曲なんだけど、切な系が良いって事なんだ」
「えっ?メジャーな楽曲じゃなくて良いんですか?」
「うん。それは大丈夫!五周年の時に私が作詞作曲した【赤い雷鳴】が思いの外、売れてしまっただろう?」
「赤い雷鳴」はこのデジタルミュージック全盛の時代に、CDで三百万枚の売り上げを叩き出したモンスター曲だ。
メジャーコードが散りばめられ、キャッチー感にも溢れている。
子供から年配の方まで幅広い世代に受け入れられた楽曲である。pillarの名刺代わりになるスタンダードナンバーだ。
「切ない曲でもリスナーに受け入れてもらいたい。それがpillarのメンバーと私の狙いかなあ」
「……わかりました。善逸と二人で曲の構想を練ってみます」
「今、なんとなくメロディーが浮かびました。これから譜面に起こしてみます」
「やはり二人は頼もしいね。じゃあお願いするよ。楽しみにしているからね」
「はい!!」
★
「何か夢みたいだね。俺達がpillarさんの楽曲を制作する事になったなんてさ」
「……そうだな」
お館様との話が終わり、私達五人は次の現場へ向かう為に移動している所だ。運転席には後藤さん、助手席にはしのぶさんが座っている。
「私も胸がいっぱいですよ。二年だけでしたけど、pillarのマネージャーをしてましたからね。あの時は十周年なんて夢のまた夢で……」