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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第54章 八重に咲く恋、霞は明ける / 🌫



「霞の呼吸は足捌きが凄く重要だよ。筋肉の弛緩と緊張を常に意識する事」

「はい、師範」

七瀬が継子になって三日経った頃だ。一日目・二日目と呼吸についての座学を受けた彼女は実践稽古に臨んでいた。

「おとといと昨日の座学で、全部の型がどんな物かわかったでしょ?僕が今からやる事を真似して。よく見ててよ」

「わかりました」

七瀬が返事をした途端、無一郎の顔色が変わる。

「ねえ、初日に言ったよね。僕の方が年下なんだから敬語はいらないって」

「……ごめん。まだ慣れなくて……」

柱であり師範。いくら自分が年上であろうとも、そこは礼節をわきまえなくては。そんな思いが彼女の中にあったが、無一郎はそれを良しとしなかった。

どうにか了承した七瀬。しかし、二人以外の公の場ではきちんと接したいと申し出た。

理由は ——

「私が友人に話しかける口調で無一郎くんと話してたら、尊厳が失われるんじゃないかな?柱は特別。やっぱり一般隊士から尊敬される立場だからさ。そこはきちんとわきまえなきゃいけないと思う」


「……わかった。君の言う事も一理あるね」


こう言った経緯で、外では師範と継子の立場を互いに自覚しようと約束をした二人である。





「柱の中では誰が優勝候補なの?」

「煉獄さんと甘露寺さんかな。二人共食べるのがとにかく好きでしょ。特に煉獄さんは継子と時々かるたでも勝負してるって言ってたしね。他の人達よりやり慣れていると思う」

七瀬は杏寿郎の継子である先輩隊士が毎回嘆いているのを、再び思い出していた。

『弟さんの呼吸音だけで、次に何を詠むかを察知するんだっけ。それから全部の句を読んでから札を取りに行っても全然歯が立たないとも言ってたなあ』


決勝戦は炎柱と対戦だろうか。動の杏寿郎と静の無一郎。何とも対照的な二人である。
そして —— 七瀬のこの予想はピタリと当たる事になった。

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