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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第54章 八重に咲く恋、霞は明ける / 🌫



「漆ノ型 —— おぼ…」

継子が霞の呼吸の奥義を出そうとした瞬間 ——師範が放つ伍ノ型が彼女に襲いかかった。


「霞雲の海(かうんのうみ)」

「………!!」

それは七瀬を惑わす、大量の霞。無一郎の連撃だった。

周囲が見えなくなった彼女は、ふうと一度呼吸を整える。いつも伍ノ型に仕留められているのだ。
今日こそは ——! そんな気持ちで木刀を振るった。



五分後 ———

「はあ、はあ、……んっ、はあ!ありがとう、ございました」

「昨日より少し良くなったね。でも奥義を出すならもっと力が欲しいな。全身が燃焼するぐらいの気持ちで放たないと、朧は難しいよ」

「はい、師範……肝に、はあ、命じます……!」

「お疲れさま」

七瀬は木刀を無一郎から受け取り、元ある場所に戻した。

「そうだ、君にお願いしたい事があるから、座学の後に話聞いてもらえる?」

「私に?わかった。水分補給と……」

「湯浴みなら先行っていいよ。僕あまり汗かいてないし」

「ありがとう」

無一郎に礼を言った七瀬は早速浴室に向かった。





「へえ……柱の皆さんで百人一首大会かあ」

「そう。優勝者には一年間限定で、以心伝心の職人が毎週屋敷まで好物を作りに来てくれるんだって。君も隠の……あの人名前何だっけ……思い出した、本田さん?ふろふき大根は壊滅的に下手でしょ」

無一郎の発言に七瀬はうっと表情が歪んだ。彼の言う通り二人共ふろふき大根が上手く作れない。
尚、以心伝心とは鬼殺隊士のほとんどが利用する食事・甘味処の事だ。


「だから、かるたも鍛錬がてら付き合ってよ」

「それは勿論良いけど、かるたが鍛錬になる?」

「集中力と記憶力向上には持ってこいだと思うんだよね。君どれくらい和歌は覚えたの?凄く興味がある顔してたから、ニ十個ぐらいは覚えたんでしょ?」

「そ、そうだねぇ」

………実はまだ一つも覚えてない、とはとても口に出来ない七瀬である。

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