恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第53章 Latte ship / 🔥✳︎✳︎
「ラテは後でも構わない」
「うん、わかった」
「……先程の件だが」
「う、うん?」
やばい、動揺が伝わってしまう。
「用意が出来たら寝室に来てくれ」
「………わかった」
ダメだ、私さっきから「うん」と「わかった」しか言ってない…。
杏寿郎さんの両手が私の頬に移り、ちうと唇に1つ口付けが落ちた。彼はポンポンと私の頭を撫でた後、マグカップをシンクに持っていく。
「洗い残しがあったらすまないが頼む」
「うん、わかった」
ああ、まただ。
私が目を瞑って天を仰ぐと、杏寿郎さんがふっと笑った。
★
「杏寿郎さん、いいかな?入るよ」
寝室の部屋をノックすると了承の返答が聞こえて来た。既にこの時点で私の心臓は爆発寸前である。
お願いだから少しは静まって……!!
心臓の位置に右手を当て、トントントンと強めに叩くが、当然ながら静かになる事はない。
ふう、と深い息をついてドアを開くと ———
どうしよう、夜見るとかっこよすぎなんだけど……。
そこにはパイロットの制服を着用した彼がいた。黒のダブルジャケットの両袖には機長の証である黄色い四本線が並んでいる。下は黒いスラックスだ。
「なるほど、宇髄の言う通りだ」
「え?宇髄さん?………あっ、だからこれを持って来てって」
私が右人差し指で指したのはCAの制服だ。
上には無地のライトグレーのジャケット、下は同じく無地のダークグレーのタイトスカート。
ジャケットの下には半袖比翼シャツを着用している。首元にはスカーフをリボン巻き。ちなみにシャツとスカーフはピンクである。
「多忙な仕事中はなかなかじっくり見れないからな。おすすめだと言われたぞ!」
私の頭には高らかに笑いあげるドヤ顔の整備士の姿が思い浮かんだ。確かに宇髄さんの言う通り、彼の制服姿をこんなにゆっくり見る事はない。それは一理ある。