恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第53章 Latte ship / 🔥✳︎✳︎
「ごちそうさま!今日も大変に美味かった」
「ありがとう。杏寿郎さんはいつも美味しいって言ってくれるから、凄く作り甲斐があるよ。はい、カフェラテ」
「君が淹れてくれるこれも美味いな……」
一口飲んでにっこりと笑顔を見せてくれる彼だ。
「そうだ、七瀬は竈門炭治郎を知っているか?」
「うん、知ってるよ。GS時代に一年だけ一緒に仕事してたから」
「次回は彼と組む事になりそうだ!非常に優秀らしいな」
杏寿郎さんの言う通り、竈門くんは副操縦士のホープともっぱら評判だ。私もCAになって初めてだな、一緒の便に乗るの……。
「凄く優しいんだよ。六人きょうだいの長男らしくてね。GSの友達が彼の彼女なんだけど、同棲してるんだって」
「そうなのか??いや、確かにこの業界はすれ違いが多い故、同棲する社員はかなりいると聞いた事はあるが…」
「うん、だから私羨ましいなあって思……あっ」
しまった、ついつい本音が出ちゃった。何となく恥ずかしくなった私はカフェラテを半分飲んだ所で席を立ち、シンクに持っていった食器を洗い始めた。
すると彼から強い視線を感じる。早くそらしてくれないかな……。
食器類を全て洗い終えた私は杏寿郎さんの顔を見れないまま、テーブルに戻る。
マグカップに残っているカフェラテが程よくぬるくなっていたけど、その温度が心地よかった。
「私、もう一杯飲もうと思うんだけど、杏寿郎さんどうす……」
「七瀬」
全部飲み干した所で彼のマグカップと自分のマグカップを両手に持つと、その上から大きな掌で包み込まれた。
私の目を真っ直ぐ見る杏寿郎さんの双眸。目力が強すぎるそれにドキドキと心臓の鼓動が速くなる。
三年経って大分慣れたけど、それでもときめいてしまうのは変わらない。