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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第52章 Espresso Control / 🌊✳︎✳︎



『そうだ、また熱測ってみよう』

クリニックで診察前に計測した時は三十七度後半だった。だから診察に行ける余裕もあったと言える。

あれから一時間半。体が先程より熱さを増しているような感覚があるのはきっと気のせいではないだろう。

ピピッピピッと電子音が聞こえたので、脇に挟んでいた体温計を確認すると ———


「うわあ、三十九度近い……」

体温計には”三十八・八”の数字が表示されていた。それを視覚で認識した途端、体内の温度がまた上昇したような気がした。

頭がぼうっとする。薬の副作用のせいもあり、私はそれからスウッと寝入ってしまう。










ブーブーブーブー。
枕の横に置いていたスマホが振動する音で目が覚めた。ディスプレイには義勇さんからのメッセージが届いた事を知らせる通知が表示されている。

時刻は午後四時を回った所だった。確か寝入ったのは午前十一時過ぎだと記憶している。


『五時間も寝ちゃったんだ……でも解熱剤のお陰かな。少し楽になった気がする』


メッセージを確認すると、玄関扉の前に差し入れを置いたと言う文面だった。嘘……義勇さん、来てくれたんだ。
感染症に羅患したから、今週は会えないとメッセージを送った為だろう。私は目尻から涙が滲んだのを拭って玄関に向かう。


「わあ、たくさんある……」


ドアを開けるとポリ袋が二つあり、一つはゼリーが十個、もう一つにはスポーツドリンクが十本入っているのが確認出来た。


「俺の事は気にしなくて良い。早く元気になれ」


袋に貼り付けてあったメモを読んでまたじわっと涙が出て来る。
今週末は義勇さんの誕生日のお祝いをする予定だった。
けれど、私が体調不良になってしまった為、来週末に延期になったのだ。

『バレンタインにも職場で会えない。仕方ない事だけど寂しいな』

会社へ報告すると、来週十五日までは自宅療養するようにと言われてしまった。

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