恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第52章 Espresso Control / 🌊✳︎✳︎
煉獄キャプテンの声が管制塔から去ると、周囲は先程と同じようにざわつき出す。
「ちょっと、七瀬〜!!煉獄さんから激励されるなんて凄いじゃない!」
「私、感動しちゃったよー」
駆け寄って来た先輩と私の前に業務を終えた同期。
二人に照れながらお礼を言い、ちらっと後ろに視線をやると義勇さんが二回首を縦に振ってくれていた。
するとスカートのポケットに入れているスマホが震える。先輩と同期が自分の持ち場に戻った事を確認した後、私は画面を確認した。
「Good control !! よく頑張ったな」
「ありがとう、義勇さん。それから誕生日おめでとう!」
素早くそのメッセージを送信した私は照れくささもあり、すぐに自分の持ち場に戻った。
彼はどんな顔をしてこれを読んだのか。
—— きっとまた今の今まで忘れており、ようやく合点がいった表情をしているに違いない。
★
それから三日後の週末の事。
私は昨晩から発熱と悪寒、体の節々に走る痛みと闘っていた。
重だるい体を何とか起こし、近所の内科を受診するとインフルエンザA型の診断が下る。
調剤薬局で薬剤師さんから「お大事にして下さい」の言葉と一緒に薬を受けとり、ふらふらする体で何とか帰宅した。
まずは冷蔵庫に常備しているゼリーを取り出す。容器に入っている量は百グラムだ。そんなに多くない。
けれど、今の自分にはなかなかきつい。
マスクを外してゆっくりゆっくりスプーンで口内に入れる。
何とか食べ終えた私は、処方された薬を飲んで布団にゴロンと横になった。それから咳症状もある為、再度マスクを装着した。
寝巻きに着替えたい気持ちはやまやまなのだが、いかんせん動く体力があまりない。
しかし、幸いベッド上に脱いだ物を置いていたので、寝転びながらも何とか着替えて布団の中に入る。
額には既に冷却シートを貼っているので、おでこ周りだけはひんやりとした感触で覆われている。