恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第52章 Espresso Control / 🌊✳︎✳︎
「お前は、どうしてそんなに………!」
彼がとても苦しそうに顔を歪めた ——かと思うと、降って来るのは溢れんばかりの口付けだ。
おでこに、両のまぶたに、頬に、鼻に、唇に。
リップ音が多く響く中、首に鎖骨に彼の唇がするりするりと流れていく。
「んっ、痛い……」
左胸に3回ちくっとした刺激が与えられた。義勇さんの顔が乳房から上がると、潤んでいる紺色の双眸と目が合う。
普段見下ろされる視線と違い、上目遣いの彼の瞳は私を貪欲に求めているのがよくわかった。
「あ、義勇さ……そっちは、」
「煽ったのはお前だ、はぁ…こちらにも、刻む」
ふうと暖かな吐息が右乳房に吹きかけられた後、大きな掌で形をゆっくり変えられる。それから左胸と同じようにちく、ちく、ちくと3回痛みが走った。
「上手く刻めた…」
「うん、それは良か……」
胸のドキドキが最高潮の中、私はそろっと顔を下に向けていく。左右の乳房を確認して驚いた。
赤く鬱血した花の周りには彼の物であろう歯形。薄いし、1日立てばきっと消失してしまいそうな跡だ。
「あ、あの義勇さん、こ、こ、これって……んっ」
衝撃でどもってしまう私。左胸、右胸と指し示した自分の右人差し指だけど、恋人のあたたかい口内にさらわれた。
ちろちろと舌先で丁寧に愛撫された後、リップ音と一緒にちりっとした痛みが少しだけ走る。
彼の唇から出て来た自分の指先には乳房同様、鬱血痕がついていた。
「お前の初業務が上手くいくよう、願いを込めた」
ぼわん!と再び上昇する全身の温度に、心が溶かされてしまいそうだ。
「あのね、胸、はまだ見えないから……良いけど、指!指は……恥ずかしいよ」
「そうか?だったら絆創膏でも貼ると良い」
「あ、そうか」
……じゃない!!確かに絆創膏で隠れる大きさだけど、こんなの見る度に思い出すよ、情事の事を……。
頭を左右にぶんぶんと振る私を、義勇さんはきょとんとした顔で見ている。