恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第52章 Espresso Control / 🌊✳︎✳︎
「考えている時にその……す、」
「す?なになに?それ」
珍しく義勇さんの顔が赤い。ここは彼の気持ちが落ち着くまで待つべきだろうか。
沈黙が一分強。その時間が過ぎた所でようやく続きの言葉が発せられた。
「お前の事を好きだと……その度に思うんだ。だから、口にまで出して欲しいと言われるとキャパオーバーになる」
「えっ……」
瞬間、ぼわん!と自分の顔・体の表面温度が跳ね上がった。
うわあ。うわあ。何それ、何それ!!
すう、ふうと一度深呼吸をしたのちに真っ赤な顔をした恋人の頬に感謝の気持ちをこめ、私は口付けを贈る。
「義勇さん、わかった。もうその気持ちだけで充分だよ、ありがとう」
「そう言って貰えると助かる」
ここでようやく安心した表情を見せてくれた彼は、再度私の左頬を優しく撫でた後に口付けをくれた。
それからリモコンで部屋の電気を薄暗くした義勇さんは、キスを連続でくれながら着ている服を脱がし、自分も纏っている物を一枚一枚脱いでいく。
パサッ…と互いの下着が取り払われた瞬間 —— 彼が私をぎゅうっと抱きしめてくれた。
義勇さんの体温は低くもなく、かと言って高くもなく丁度良い温度だと思う。
鼻腔をくすぐるのは彼がつけているムスク系の香りだ。
本人が知っているのかどうかは不明だが、この深みのある甘い香りは「温かみのある」「動物的」「官能的」などと表現されているらしい。
だからなのか、彼と肌を重ね合わせる時の私はちょっと気分が高まってしまい、おねだりをしてしまう事が多い。
「キスして」
「もっと触れて」
「義勇さんとたくさん気持ちよくなりたい」
主にこの3つを恋人によく言ってしまう。