恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第52章 Espresso Control / 🌊✳︎✳︎
「……いいか?」
「うん……」
さっきより速まる心臓の鼓動。私はふう、と1つ深い息をはくと彼の胸の中にすっとその身を寄せる。
互いの体が重なった部分から聞こえて来るのは、義勇さんの心臓の音だ。
「ふふ、鼓動速いね」
「仕方ないだろう、いつもの事だ」
左頬が彼の大きな掌で包まれると、そのまま下に向けていた顔を上向かされ、唇にあたたかな体温が届く。
「んっ……」
最初は私の唇を確かめるように当てられ、次にちう…とリップ音を響かせながらキスをくれる恋人だ。
啄むやりとりがひと段落すると、差し込まれるのは義勇さんの舌だ。つ、つ、つ、と歯列を右に左に辿られるとぞくりと下腹部が轟く。
「口を、あけろ…」
「あっ、うん……」
ぬるり、と歯列から喉に向かって来る彼の舌が私の舌に絡み、口の中が濃厚なエスプレッソの味で染められていく。
口内が義勇さんの体温で満たされる —— そんな気持ちが脳内をよぎった瞬間、彼の右手が私の左胸にすっと当てられた。
ぐに、と柔らかく掴まれると反応するのは下腹部の下にある蜜壺。
「んっ、ここじゃやだ…」
体を捩って彼から逃れようとするが、すかさず背中に大きな左手が回され、うごめいていた舌先がリップ音と共に口腔内から外に出た。
ふう、と深い息を一度ついて間もなく彼からキスが降って来る。
「寝室に行く、はぁっ……ぞ」
臀部に当たっていたソファーの感覚が消えたと思うと同時に、横抱きにされた私は彼の首に両手を回した。
「ん、ん……ぎゆ、さ……」
寝室に運ばれていく途中も性急なキスがそそがれ、息が上手く繋げない。
ベッドに背中が沈んだ所で、ようやく唇を解放された私はふう、ふうと息を整えていった。