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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴



「私も恥ずかしいけど……2人でやればきっと大丈夫だよ」
「わかった」

突き匙(つきさじ)に苺を刺し、互いの口元近くまで持ち上げる。
ドキドキドキと、2人の鼓動が右肩上がりで上昇した。


「せーの!!」

次の瞬間、炭治郎と七瀬の口内に広がったのは苺の甘酸っぱい食感だった。
果肉が弾け、生くりーむによって酸味が少し増した味わいも広がっていく。


「美味しい……!」
「ああ、少し酸っぱいのが良いな」

咀嚼が終わり、ゴクンと飲み込んだ2人は笑顔のまま顔を見合わせる。炭治郎は七瀬の口元に生くりーむが付いているのに気づき、舌先でぺろっと舐めとった。


「な、何?どうしたの?」
「ん?くりーむがついてたから取っただけだ」

“ご馳走様” と言いたげに恋人を見る炭治郎に、七瀬は胸がドキドキとしっぱなしだった。
年齢で言うと、彼は七瀬の1つ歳下だ。

炭治郎は恋愛をすると長男気質を発揮し、なかなか頼れる男と変貌するのだが、この時の七瀬はまだ知らない。



「ご馳走様でした〜!これだけ上手く出来てるなら、みんなにも食べてもらいたいな。千寿郎くんと槇寿郎さんにも後で持っていかない?」

「え、うーん……俺はちょっと嫌かな」

「どうして?美味しい物はみんなで食べた方が美味しいと思うんだけど」


“わかってないな”
首を傾げる恋人を見ながら炭治郎は心の中でそんな事を思う。
が —— 正直に伝える事にした。


「俺は……上手に出来たからこそ、残りのけーきも七瀬と2人だけで食べたい。君と作った大切な物だから。ダメか?」

「ううん、ダメじゃないよ。ありがとう。そんな風に言ってくれて……」

「呆れられるかと思った。独占しすぎだなって」

ふふっと笑いながら、七瀬は炭治郎を後ろから抱きしめた。


「心地いいよ、炭治郎の独占欲」

彼の右頬に七瀬の左頬がピタリと当たる。
2人の間に流れる空気。
それは、甘い中にも互いを思い合う揺るがない気持ちだ。




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