恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴
〜炭治郎と食べるくりすますけーき〜
12月25日、早朝 ———
「七瀬!起きろ、稽古の時間!」
「んっ……もう朝?」
炭治郎に声をかけられた七瀬はやや重だるい体をゆっくりと動かし、そして両腕を上に伸ばす。
「………ごめん、辛いよな」
「うん、腰がものすごく痛い」
1つの布団の中で体を寄せ合っている継子達は、昨晩互いの思いを伝えて恋仲になった。
杏寿郎が留守になる昨日今日。気持ちを伝えるならここしかない!
そう決意した炭治郎が行動を起こした結果である。
「お互い初めてなんだから、もっと加減して欲しかったな」
「ごめん、恋仲になれたのが俺本当嬉しくて……七瀬にたくさん触れたいなあって思ったんだ」
「ふふ、ありがとう。そう言われちゃうと私何も言えなくなるよ」
「ごめん、そんなつもりじゃ!」
「炭治郎、謝りすぎ」
「ごめ、あ…」
「あはは」
眉を八の字に垂らす炭治郎を見た七瀬は彼の首に両腕を回し、そして彼の左頬に小さな口付けを1つ落とす。
「でも、そう言う所も大好きだよ」
「あ、ありがとう」
炭治郎の顔がボワっと赤く染まった。かわいいなあと思う七瀬である。
「大事な事聞いていい?師範にはどうしよう。私達の事報告する?」
「そうだなあ……」
2人は互いに脳内で逡巡をする。
「俺が言うよ。七瀬気づいてたか?師範も君の事好きだぞ」
「えっ、まさか!!何で?」
炭治郎は思い出していた。
杏寿郎が七瀬のいない所で彼女の事を大層褒めちぎっていた事を。
“厳しい稽古にも弱音をはかない”
“呼吸がしなやかで美しい”
極め付けが “実にかわいらしいな!!”
……である。
彼はこれらを耳にする度にやりきれない気持ちを味わっていたのだ。
「うーん、でもそれって継子としてって前提じゃないの?」
「そんなわけないだろ!!」
あまりにも鈍い彼女に思い切り突っ込みが入る。