第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴
『う〜〜!寒い!!今気温、何度くらいなのかな?』
稽古用の道着に着替えた七瀬は体を震わせながら足早に庭への道を急ぐ。
ふと空を見上げると、上空には白く分厚い雲が広がっていた。
『今日は太陽出ないのかな。陽がささないとやっぱり寒い…』
玄関で草履を履き、扉を開いて外に出た。
再び空に視線をやれば先程と変わらない雲がある。
カン、カン、カン、カン。
師範と後輩が鍛錬をしているのだろう。木刀の小気味良い音が聞こえて来た。七瀬は玄関を出ると、そこから左へ曲がって庭へと足を進める。
すると ———
「炎の呼吸・弐ノ型 —— 昇り炎天!」
「ヒノカミ神楽・碧羅の天!」
杏寿郎と炭治郎が振るう得物から繰り出されたのは”太陽”の輪を思わせる型だった。
『うわあ……真冬に見ると、心身共にあったかくなるなあ』
炎の呼吸とヒノカミ神楽は同じ炎を扱う呼吸だ。
この昇り炎天と碧羅の天の2つは特に共通している部分が多い。
七瀬は日頃からそれを強く感じており、型を使う本人達にもよく伝えていた。
「少年!今日は特に気合いが入っているな!」
『当然だ!片思いしている子に特定の相手が出来たんだから……』
炭治郎は師範に対して一歩もひかず、次々に攻撃を打ち込んでいく。
「ヒノカミ神楽 ———」
「伍ノ型 ——— 」
「わっ、凄い!」
炎舞と炎虎。
虎が2連撃の炎と舞うように絡み合う様は、2人が舞踊を踊っているように見えた。
『いいな、2人ともとっても楽しそう!あの中に入っていくなら……これかな』
七瀬は呼吸を全身に行き渡らせると、杏寿郎と炭治郎に向かってある型を放つ。
「え?七瀬?」
「む!」
「炎の呼吸 —— 壱ノ型・改」
不知火の2連撃が杏寿郎と炭治郎に襲いかかる。