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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴



「ん……杏寿ろ、さん……」

杏寿郎はこの一言でパッと目を覚ました。
目の前の恋人は目を閉じたまま、口元をむにゃむにゃと動かしている。


昨晩彼は日付が変わるギリギリの時間に帰宅すると、任務を丁度終わらせた七瀬も帰って来た。
鬼を討伐した高揚感と、恋人に会えた嬉しさ。これら2つが混ざり合い、互いを求めた2人は体を繋げる。


とても幸せで、とても満たされた時間だった。



「あ、おはよう…ございます」
「おはよう、すまない。大分無理をさせた」


七瀬が目を開け、とろんとした視線で杏寿郎を見る。声はややかすれ気味だ。
昨晩の強欲を反省した彼は、彼女の腰をゆっくりと撫でる。すると恋人はふふっと笑った。


「はい……とっても辛いです」
「すまん」

眉を垂れ下げる杏寿郎だが、七瀬は彼の唇に口付ける。


「でも同じくらい幸せですよ。たくさん触れてもらったから」
「ありがとう、俺も君にたくさん触れる事が出来て幸せだ」


笑顔を交わし合う2人は、おでこをこつんと合わせた。
そして ——


「めりーくりすます、七瀬」

「めりー?……どういう意味なんですか?」

「楽しい1日を、と言う意味合いだそうだ。少し遅れてしまったがな」

「大丈夫です!その気持ちが凄く嬉しいから…」

「そうか」

2人の間に流れる空気は甘くて心地よい。


「おととい皆さんとくりすますのご飯は食べたんです。だけど…私は杏寿郎さんが留守だったから少し寂しかった」

「それは恋人冥利につきるな」

七瀬の両手が大きな手で包まれると、そこに優しい口付けが落ちた。


「七瀬が好きだ、大好きだ」

「私も杏寿郎さんが大好きです。ずっとそばにいさせて下さい」

「勿論だ」


再び口付けで思いを伝え合う2人。
外は極寒だが、互いの心と体はぽかぽかとしていた。

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