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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴



〜杏寿郎と食べるくりすますけーき〜


時間は少し流れて、12月23日の昼下がりの事。
朝から気温が上がらず、空も雲で覆われているが、雨や雪は降っていない。

この日の杏寿郎は非番だった。明日24日から25日にかけて県外任務の為、準備をしていた時だ。


「師範、七瀬です。入ってもよろしいでしょうか」
「いいぞ、大丈夫だ」

静かに襖が開かれると、笑顔の継子がそこにいた。
手にはおぼんに乗せられたぱんけーきが2人分。師範も思わず笑顔がこぼれる。


「美味しく出来たから持って来ました。良ければ一緒に食べませんか?」

文机の前に座って書類整理をしていた杏寿郎は、一旦作業を中断してその申し出を快く受けた。


「私1人で作ったから、前回程ではないかもしれませんが……」

「む?君1人でか?」

「……はい」

少し顔を赤く染めながら応える七瀬に杏寿郎の心臓の鼓動が、やや忙しなく動き出した。


彼の脳内に疑問符が走り抜ける。何度考えてもわからないが、きっとそれは自分にとって不都合な物ではない筈だ。


「生くりーむが甘くなりすぎたかもしれません。苺が酸っぱくなるかも」

「構わん!甘い方が好みだ」

「ふふ、ありがとうございます」

「それより……」

杏寿郎は七瀬とグッと距離を詰めた。2人の顔は普段よりも大分近い。口元に笑みを浮かべた師範に対し、継子はその熱視線に刺激されて頬を真っ赤に染めた。


「君の顔が苺と同じくらい、いや。それ以上に赤くなっているが……どう言う事なのだろうか?」

「それは……」

視線をさっと逸らす七瀬だが「ダメだ、こちらを見ろ」と言われ、彼女の左頬を大きな右手が包む。

2人の視線が柔らかく絡んだ。
七瀬の潤んだ瞳に満足した杏寿郎は包んでいる頬とは反対側のそれに、ちうと己の唇で触れる。




「俺はこのまま勘違いしていても良いのか?」



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