恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴
「へえ〜!これがくりすますけーき!美味しそうですね」
朝食後、片付けを終えた面々は座卓の中央に置かれた一枚のちらしに視線を集中させている。
冒頭の言葉を発したのは七瀬で、甘味が大好きな彼女の双眸は先程からずっと輝きっぱなしである。
「予約の締め切りが昨日だから、今年は都合が合いませんでしたね。申し訳ありません、もっと俺が早く伝えていれば……」
ほうじ茶をずずっと飲んだ千寿郎は、ふうとため息をついた。見かねた炭治郎は1つの提案をする。
「あの……この絵を見た限りなので自信はないんですが」
「竈門少年、構わない!言ってくれ」
何かを思いついた継子の発言を師範は促した。
「このくりすますけーき、家庭で作る事は出来ないんでしょうか?先日甘露寺さんのお宅で食べたぱんけーきに少し似ている気もして……」
これに素早く同意したのは七瀬だ。
「確かにぱんけーきに似てるかも。生くりーむと苺があれば同じように出来るかもしれないね」
「生くりーむ?」
「はい、槇寿郎さん。白くて甘い味がするんです」
「ああ、あれか!ぱんけーきに塗られていた白い……」
「師範、当たりです!白くてふわふわしたあれです」
恋柱の甘露寺蜜璃は杏寿郎の元継子だ。七瀬や炭治郎とも仲が良い。
「24日か25日に食べる物と言う事ですが……兄上は確かその2日間は県外の任務が入っていましたね。今日が17日だから、20日21日あたりに作ってみますか?」
「そうだな!せっかくだから、甘露寺にも声をかけてみよう。しかし、問題が1つだけある!」
「問題って……あっ」
七瀬はある人物に視線をやった。その先にいるのは槇寿郎だ。
「一年に一回の催しなのだろう?それに倣い、今回だけは杏寿郎の厨出入り禁止を解くとしよう」
「父上……ありがとうございます!」
心から嬉しそうな笑顔を見せる杏寿郎である。