恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第48章 両手に炎 〜日柱ver.〜 / 🎴・🔥
「よし!ぷりんはこの後粗熱を取って冷やさなきゃいけないから、まず掃除しよう」
この炭治郎の言葉に、蜜璃が自分も手伝うと申し出る。
七瀬はぷりんが入った容器の上に布巾を被せた。大量に散乱していた砂糖と卵だったが、4人で作業するとあっという間に片付いた。
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「甘露寺すまん…せっかくたくさん買って来てくれたのに、無駄にしてしまった」
杏寿郎は使った容器等の洗い物をしている蜜璃に話しかけた。
拭き仕事をしたい気持ちはあるが、先程炭治郎にキツく言われてしまったので我慢をしている所だ。
その炭治郎は七瀬と共に、纏めた大量の残飯を屋敷裏手にある塵芥箱(じんかいばこ=木で出来た蓋つきのゴミ箱)に持って行っている。
「ふふ、大丈夫ですよ!わざとじゃないんですから……」
それにしても、と続けて彼女はこう言う。
「私、少し驚きました。日柱様ってあんなにはっきりと思いを口にされるんですね……」
「ああ、そうだな。師範は普段は穏やかで優しいが、稽古時はなかなかに厳しいぞ!俺はたまにあるぐらいだが、七瀬はよく雷を落とされているな」
「きゃっ!普段と印象が違う男性って素敵ですね♡」
洗い物が終わると、続けて容器を拭き出した蜜璃。
うっとりとした目で何度も手に持った布巾を容器の上で往復させ、杏寿郎に声をかけられるまでずっとその調子だった。
やがて炭治郎と七瀬が室内に戻る。
「甘露寺さん、今日は本当にありがとう。ぷりんはありがたくこちらで頂くね、それからこれは指導してくれたお礼。時間なくて10個しか購入できなかったんだけど……」
炭治郎はある甘味処の名前が入った手提げ袋を、蜜璃に手渡す。
すると —— それを受け取った彼女の表情がみるみる内に輝いた。
中身は蜜璃の好物の桜餅だ。
「そんな!頂けるだけでありがたいです!」
手提げ袋を手首にかけた彼女は両手を振りながら、恐縮しっぱなしだった。蜜璃は来た時と同じように明るく日柱邸を去る。
こうして悲喜こもごもの菓子作りは終了した。
さて、ぷりんはどうなったかと言うと………
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