恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
「聞いて驚け、I J がうちでエッセイを書いてくれるってよ!」
「おお!やったな!流石は敏腕の宇髄だ!」
アイジェイ……??
何かの暗号かな?私1人だけぽかんと蚊帳の外にいるようだ。
そんな異様に盛り上がる2人の様子をしばらく見ていると、煉獄さんがこちらをパッと振り向く。
「すまん、ついつい2人で話を進めてしまっていた。宇髄は上司だが、大学の先輩でもあるんだ」
「えっ??冨岡先生だけじゃなくて、宇髄編集長もですか??」
何だか校閲部に来てから脳も心も忙しない。
「そ!うちって結構パイプ繋がってんだよ••と。悪い、また来る!じゃあな煉獄!あ、沢渡ご馳走さん」
編集長は胸元で震えたスマホを確認すると、残っていたお茶を飲み干し、バタバタと自分の部署に戻っていった。
呼び出しがかかったらしい。僅か10分強の滞在だった。
「流石……編集長ですね。お忙しそう」
「普段はもっと余裕があるんだが……12月だからな!仕方ない。それはうちもだがな!」
「はい!」
お茶を淹れ直していると、昼休憩を終えた伊黒さんや他の社員さん達が丁度戻って来た。
午後もチェック頑張らないと!
★
「いよいよですね、決勝T!この試合に勝てば、日本が目標に掲げているベスト8なんですよね……」
今日は12月5日、時間は23時45分を回った所だ。
俺は自宅のテレビ画面を見ながらスマホを手に持っている。
スピーカーに切り替えている為、通話口から彼女の興奮を抑え切れない声が聞こえて来た。
やはり可愛らしい。相手の表情を想像するとつい笑顔がこぼれてしまう。
通話の相手は先週校閲部にヘルプでやって来た沢渡七瀬。
以前から思いを寄せていた相手でもある。
彼女を初めて見かけたのは今年の7月。たまたま5階に用事があり、そこへ赴いた時の事だ。