恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
コスタリカに負けた2戦目後も「やってみないとわからない」と彼は確かに言っていた。
「因みにポジションはどこをやられていたんですか?」
「FWだ!ワントップもツートップもやっていたが、自分に合っていたのはワントップだな」
あ、だよね。だよね。前線のポジションだろうなあと思ってたけどやっぱり………。
勝った喜びもあり、まだ彼と話したい。そんな思いで脳内が支配されつつあった。
しかし、試合が終わった後もつけっぱなしにしていたテレビから7時のお知らせが聞こえて来た。
「あ!煉獄さん、大変です!会社行く準備しなきゃ!」
「む!本当だ、すまん……君と話すのがあまりにも楽しく…」
また後で……と通話を切り、私は電光石火の身支度をして自宅を出た。時刻は7時半。どうにかいつもの出勤電車に乗れそうだ。
最寄り駅に向かう人達もなんとなく嬉しそうな雰囲気が伝わって来る。あ、号外配ってる、煉獄さんの分も貰わなきゃ!!
私は配っていたおじさんから2枚受け取り、会社に向かう。
校閲部に着くと、何と彼も号外を2枚貰って来ていた。自分の分も……と確保してくれた優しさが本当に嬉しく、私達は互いの号外を交換しあった。
そして、昼休み。
会社の屋上で煉獄さんと朝のスペイン戦について続きを話し、校閲部に戻ると何と宇髄編集長がいた。
私達2人を見た途端、にやっと笑みを口元に浮かべる彼。とても悪い顔だ。
これは誤解してるな。
「あの……」と私が言葉を発する前に、横にいた煉獄さんが編集長に「先日話した社員だ!」と言ってしまった。
え?話したって私の事を?何で??
脳内が疑問符だらけになって来たが、そうだ!お茶出さなきゃ!と思考を切り替えて給湯室に向かう。
「宇髄編集長、お疲れさまです!初めまして沢渡です。宜しければお茶どうぞ……」
「おう、ありがとな!頂く」
今度は先程見せた悪い笑顔ではなく、とても綺麗な顔で笑う宇髄編集長だ。
美丈夫2人と同じ空間にいる。そう実感すると、あっと言う間に胸の鼓動が忙しなくなった。