恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
『あっ……』
掌が私の左頬に移動する。12月も間近だと言うのに、彼のそこはお日様のようにあたたかい。
“ B1のサンライズ “
校閲部にやってきて、煉獄さんがそう呼ばれているのを初めて知った。確かに地下の薄暗い部署でも彼1人が存在していると、明るい雰囲気になるのは確かだ。
本人の見た目は勿論、やはりカラッとしている性格のせいなのだろう。
朝日を思わせる双眸が、私をじいっと見つめている。
あの時 —— ベッドで隣にいた彼の瞳と変わらない、射抜くような2つの眼差しだ。
それに惹かれるように、彼の左腕に自分の右手を伸ばした。
「む?了承と受け取って良いのか?これでは本当に勘違いしてしまう」
フッと笑った彼の笑顔を見た瞬間、自分もこの人とまだいたいのだと気づいた。
「大丈夫です……私も煉獄さんと一緒に過ごしたいから」
「よもや」
「ふふ、どうして驚くんですか?先に声をかけて来たのはあなたなのに」
「いや、すまん。それはそうなのだが……想定外でな」
先程と同じように大きく目を見開く彼はやはりかわいい。
「2日にスペイン戦ありますよね。リモートで一緒に観ましょうよ。私もまだ日本のGL突破、諦めたくありません」
「ああ、喜んで!」
「それじゃあまずは3軒目ですね〜」
彼の左手が私の右手に絡んだ。いわゆる恋人繋ぎだ。ドキドキと心地よく上昇する鼓動が気持ちいい。
この後は3軒目でノンアルコールを一杯だけ飲んで、それぞれ帰宅した。もしかして…と思っていたけど、始まりが始まりだったから彼もそこは気にしているのかもしれない。
「無事に着きました。今日はありがとうございました、おやすみなさい」
煉獄さんにメッセージを送信すると、すぐに返信が来た。
「急な誘いだったのに付き合ってくれて、ありがとう。また明日な!おやすみ」
自分達の関係ってどう名付ければ良いのかな?
そんな疑問はある。が、私はとても良い気分で寝付いた。