恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
少し時間は経過して……11月の最終日曜日。
「あっー!!うそ……負けちゃった」
場所は4日前と同じスポーツバー。グループリーグ第2戦、後半21分にそれは起こる。
少ないチャンスを物にした相手チームの選手に点を決められてしまった。これがそのまま決勝点となり、日本は敗戦した。
「実況の人も言ってたけど、コスタリカの一点に対する思いがひしひしと伝わって来たよ……ずっと狙ってたんだろうね」
私は初戦観戦時と同じく、村田くんとお店に来ていた。
試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間、あちこちで漏れるため息。
悔しさ、悲しさ。
ドイツ戦と正反対の結果に終わった日本チームに怒号を浴びせる人もいる。
「何やってんだよ!初戦の勝利を無駄にしやがって……相変わらず決定力がねーな!!」
「そうだ、そうだ!」
視線をちらりと向けてみると、日本代表が着用するユニフォームのレプリカを身につけている男性2人組だった。
「ねえ、村田くん」
「あ、うん……どうしたの」
すっかり泡が落ち着き、液体と同化してしまったビール。それを力無く飲み干した同僚に思った事を伝えていく。
「沢渡さん、それはね。プロだから避けられない事だよ。正直俺も手のひら返しはどうかと思うけどさ……」
「うん……」
★
「じゃあまた明日ね。まだもう1試合あるから!!終わったわけじゃない!」
「うん……そうだね」
スポーツバーを出た私達は別々の方向に歩き出す。
今回は19時キックオフだったので、電車もまだまだ走っている。
今は21時を回ったばかりだ。
自分の中で敗戦のショックが思ったより大きい。帰宅する足に迷いが生じている。
どうしよう。もう一軒寄って気持ちをすっきりさせようかな。
その時 ———
上着のポケットに入れていたスマホが震える。通知画面に表示されていたのは煉獄さんの名前だった。
サッカーを観たか?と言う問いかけに対し、スポーツバーで今日も観戦したと返事をする。
【休日出勤したから、今外なんだ。良かったら飲みに行くか?】
誰かにこのモヤモヤを吐き出したい。そう強く感じた私は了承の返事を彼に送った。