恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
「5階のグルメ誌からヘルプで派遣された沢渡七瀬です。3ヶ月間よろしくお願いします」
パチパチパチ………。
轟出版の地下一階。私の派遣先の校閲部は、ここにある。主任である煉獄さんに紹介され、皆さんの前で挨拶をした所だ。
校閲部は煉獄さんを含めた6人で構成されている。その他の社員は浅野さん、堂安さん、久保さん、三笘(みとま)さんの4人と ———
「異動初日から重役出勤とは……良いご身分だな」
この切れ味が鋭い発言をしたのは、伊黒さんだ。口元にはマスク。左右の瞳の色が違うオッドアイ。そして首元には……えっ?白蛇??
「何だ?言いたい事があるならはっきりと言え」
「いえ!何も!!」
フン…とじろっと私を一瞥した彼は、デスクの上の原稿に視線を落とした。
「沢渡さんは、この原稿を確認して貰えるか?冨岡は間違いがほとんどないから、初めてチェックするには丁度良いと思うぞ」
「えっ?冨岡って冨岡義勇先生ですか?」
「そうだ、あの冨岡だ!これは今月出したエッセイの次に出版する小説だ」
そうだ、確か小説部の宇髄編集長と大学が一緒だったって聞いた事がある。
「因みに俺の先輩で、伊黒の同級生だ」
「へ、へぇ〜!!凄いですね、皆さん」
まさか宇髄編集長だけじゃなく、煉獄さんや伊黒さんとも面識があるなんて。しきりに私が感心していると「おい、口じゃなくて手を動かせ」とツッコミが飛ばされて来た。
「はい!すみません……」
うう、伊黒さんって怖いなあ。煉獄さんが優しいから対照的な2人だ。
ブーブーとここでスマホが震えた。通知画面には「煉獄さん」の4文字が表示されている。
【すまんな。伊黒は物言いがキツい時があるが、悪いヤツではないんだ。わかりづらいけど、良い部分もある。あまり深刻に捉えないでくれ】
スマホを確認し終えた私は煉獄さんのデスクに視線をやった。
彼は原稿の見直しをしており、何もなかったように振る舞っている。
ちょっと強引だし、話が通じない所もある。でも煉獄さんは気遣いもしっかり出来る人のようだ。
瞬間 —— 私の胸の鼓動がとくんと弾む。