恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
「あの、煉獄さん」
「どうした?早速今日仕事が終わってからでも、食事に行くか?」
「いえ!私が聞きたいのはそれではなくて……何故自分がバスローブ姿なのかまだ理由を教えて貰っていません」
ああ、その事か……と彼はやや残念そうな様子を見せながら、ようやく私が先程から疑問に思っていた事を教えてくれた。
村田くんに「送っていく」と伝えた彼。熱気で充満したスポーツバーを出た後に、タクシーを拾う。
酔い潰れて寝ていた私を背中におぶった煉獄さんは、後部座席に乗り込んでタクシーに行き先を告げる。
自分の家にと一瞬考えがよぎったが、それは流石にまずいと思い、このビジネスホテルに辿りついた。
再び寝ている私を背中におぶり、チェックインを済ませて部屋に入る。
ここでベッドに下ろそうとしたが、私が彼からなかなか離れない。
かと思うと、いきなり「暑い」と言いながら着ていた服を次々に脱ぎ出し、ショーツ1枚になったと言う。
そして元カレの名前を何度も呟きながら、煉獄さんに抱きつく。それからベッド上に置いてあったバスローブを羽織ると、再度彼に抱きつき、一緒にソファーへ横になったらしい。
「せめて寝るならベッドが良いだろうと思い、何回か声をかけたんだが……君は起きなくてな」
反応をしない私を何とか運び、寝かせた。ベッドに寝て安心したのか、ここでようやく彼を解放したらしい。
自分に嫌気がさした。何をやっているんだろう、本当に。
「すまんな。俺も悪いと思い、最初はソファーで寝ていたんだが…かわいらしい寝顔に惹かれてベッドまで来てしまった!」
「えっ、いや、そんな事ないですよ……って来てしまったって何ですか!」
「ははは!本当の事だから仕方ないだろう!」
さっきから「かわいらしい」「愛らしい」と言われている事に照れが隠せない。
そして三度(みたび)あたふたオロオロとしている私をどこか楽しそうに見ながら、彼は爽やかに笑う。