恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第46章 狐火の契約 / 🔥✳︎✳︎
1時間後 ————
「美味い!わっしょい!!」
私の目の前には、たくさんの焼き芋を食べている杏寿郎さんがいる。一定のさつまいもの摂取量を超えたので、既に小狐姿だ。
仮装コンテストは満場一致で、杏寿郎さんの優勝だった。
授賞式時、かなり気分を良くした彼は小さな狐火を掌から出し、大喝采を浴びた。
優勝賞品はさつまいも50本。正に杏寿郎さんの為のコンテストと言っても良かった。
今は妖術で大半のさつまいもを焼き、2人で食べている……と言うわけ。もちろん人目につかない所に移動しており、ここは大学から徒歩5分内にある神社だ。
彼と初めて出会った大切な場所でもある。
「所で、七瀬!その巫女の衣服はどうしたのだ?後ろで結んでいる髪は付け毛か?」
20本程食した所で、そんな疑問を私に投げかけてくる彼。
恋人が妖狐姿で歩くならこれしかないなと思い、丁度実家の用事で代々陰陽師の家系の狛治宅に行く事があった為、彼のお母さんの物を借りて来たのだ。
うーん、どうしよう。正直に伝えるべきか。
迷ったけど、嘘をつくのもなあと思い、そのままの出来事を彼に言った。
すると ———
「そうか………」
その一言だけ呟くと、くるっと私に背を向けて焼きいもを続けて食べ始めた。
「え、どうしてそっぽ向いちゃうの……」
「何でもない!気にするな!」
それっきりまた黙って焼きいもを食べる彼だ。
「ねえ、もしかして……やきもち?」
「む………」
すると、わかりやすく彼の小さな手が動きを止めた。