恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎
—— 午前10時。
朝食を済ませた2人は、洗い物と着替えを済ませて、コーヒーを飲んでいる。
「ここでコーヒー飲むのもしばらくお預けかあ。寂しいな……あ、杏寿郎さん。おかわり飲みますか?」
「ああ、頼む」
—— 午前10時半。
「お願いします……」
「………」
いつも2人で座るソファーに並んで座り、杏寿郎は七瀬の爪に色をのせ始めた。今日はビタミンカラーの青柳色。これは彼女が前世で来ていた羽織の色。そしてもう一つは緋色。
「ふふ、これでしばらく爪先も杏寿郎さんと一緒です。嬉しいな」
『そう言う事をあまり言わないでほしい……』
2色のネイルを塗り終わった彼。爪先が乾いたのを確認すると、後ろから彼女の両手を自分の両手で重ねた。
頬同士をぴたりと寄せ合い、しばしのふれ合いを楽しむ。
——— 午後11時半。
羽田空港2階の出発ロビーにやって来た2人。
チェックインを済ませた七瀬は茜色のキャリーバッグを杏寿郎から受け取ると、手荷物検査場へ視線を向ける。
「じゃあ……行ってきます!GW、待ってますね」
「ああ。頑張って来い!あちらの家に着いたら、きちんとご両親にも連絡するように」
はーいと返事をした後、七瀬はにっこりと笑う。
「七瀬…」
「どうしました?」
すると、彼女の左耳でコソコソっと彼が何かを囁く。
「いいな?約束だ」
「……はい、頑張って卒業します」
やや顔を赤くした七瀬はその後、手荷物検査所へ向かった。
検査所へ入る前、彼女は杏寿郎に体を向け、大きく右手を振る。
そうして飛行機に搭乗する為、検査所をくぐったのであった。